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特別な1日
京丹後の生産者が自分の作った食材を堪能する 『1日だけの出張レストラン』
ホテル最上階にあるビュー&ダイニング『コトシエール』では、生産者を招き、その食材を使った特別なコースをお客様と同じテーブルで味わっていただく『シェフの日』というイベントを開催していましたが、シェフが現地へ赴き料理を振る舞うのは初の試みです。
生産者に最高の状態で召し上がっていただきたいという思いから、ホテルグランヴィア京都のサービススタッフも同行し、心を込めておもてなしをしました。
料理とのペアリングも楽しんでいただけるよう、丹後王国ブルワリーのクラフトビール、京丹後産の日本酒、この日の料理に合わせてセレクトしたワインを用意しました。
大きなテーブルを囲む晩餐会のような温かい空気感に包まれた会場は、皿が進むにつれて高揚感を増していきました。
京丹後の豊かな食材が、趣向を凝らした8品の料理へと姿を変えました。
『大江農園』のトマトを使った一皿は、紅ズワイガニの上に昆布締めしたトマトをのせ、その上にトマトのエキスを粒状にしたキャビアを散りばめて瓶の中へ。
家庭では食べることができないプロならではの調理法で、トマトの美味しさを詰め込みました。
トマトの果肉とゼリー状の種の部分を分け、総料理長 柏木が丹後王国内のハーブガーデンで見つけたノコギリソウとカタバミを上にのせたシンプルなものです。
「大江さんが理系だとお聞きして、サイエンスを感じるトマトのキャビアや、果肉の甘みと種の酸味を別々で味わい考察するようなお料理が喜んでもらえるんじゃないかと思ったんです。
生産者の人柄を知ると、料理のアイデアが膨らみますね」と総料理長 柏木。
粕汁をイメージして作ったというまいこ里芋を使った料理は、パンチェッタでまいこ里芋を巻き、酒粕で包んでローストした一品に。
ほんのり酒粕の香りをまとい、パンチェッタの塩味と一緒に食べるまいこ里芋は、上品で口当たりなめらか。まいこ里芋の素材力が引き出しました。
「一見テクニカルに見えるお料理なので、サービスするスタッフに“粕汁”というワードを伝えてもらい、親近感を持っていただけたらと思って作りました。
山野さんとお話をして実直な方だと感じたので、人柄にも合っていると思います。」
『山野農園』の山野さんは、この2品を食べて、想像を超える美味しさがあったと感激していました。
「粕汁をイメージして、まったく違う形の里芋料理にするという発想がすごいです。
まいこ金時はバターなどの塩味が合うので、醤油麹が入ったクリームも合うだろうと思って食べたのですが、想像以上の美味しさでした。
どちらも里芋とさつまいもを主役にして調理してくださっていたので、生産者冥利につきます。」
『おのじん』でお土産にいただいた、味噌たまりを使ったコンソメスープです。
「いろんな料理を食べて、お酒も飲まれているので、お口直しのシャーベット的な役割として、コンソメスープを出しました。
小皿料理から、後半の大皿料理への区切りみたいな感じです。
味付けに『おのじん』さんの酒ひしおを使う予定でしたが、代わりにいただいた味噌たまりをさっそく使わせていただきました。
すっきりとした味わいになって、いい役割を果たせたと思います。」
主役を引き立てる名バイプレイヤーとして活躍した醤油糀や味噌たまり。
『おのじん』の小野さんは、8品の小皿料理を一品一品味わって食べたといいます。
「生クリームに醤油糀を合わせている料理は、さつまいもとの相性がとてもよかったです。
コンソメスープは旨みが残りながらもすっきりとした味で、8品とも新しい味との出会いの連続でした。
さすがプロの料理人ですね。」
後半は、魚料理として京丹後産のスズキを使った窯焼ローストを。
丹後王国にあるピザ窯で香ばしく焼き上げたスズキは、野菜やオリーブをワインで煮込んだ南フランスの郷土料理・バリグールをソースとして別添えにしました。
「繊細な料理の後は大胆に」というキャンプ好きな総料理長 柏木の豪快な料理で、楽しいテーブルはさらに盛り上がっていきます。
赤ワインを煮詰めたソースをかけ、『おのじん』の醤油糀を添えてお出しすることで、脂がのった京たんくろ牛をさっぱりと仕上げました。
パエリアパンを持ったサービススタッフがお客様の席へ行くと、撮影大会がスタート。
京丹後の海の幸や山の幸を盛り込み、鮮やかに、豪快に仕上げました。
いろんなダシが染みわたったお米は、思わずもう一口食べたくなる旨みの塊。
ラストにふさわしい、五感を満たす刺激に満ちた一品になりました。
「たくさんの生産者に私たちの食に対する姿勢を感じていただける機会になったのが非常にありがたかったです。
『おのじん』の小野さんが、自分が作ったものが、どういう形の料理になっているのかが分からないので、今回見ることができたのは幸せだとおっしゃっていました。
生産者にとって食材は娘のようなもの。
嫁いだ先でどういう料理になったかを知ることで、安心感を得られたり、新たなモチベーションにも繋がるかもしれません。
料理人はテクニックも大事だけれど、いい素材との出会いがインスピレーションを高めてくれます。
これからも京丹後の生産者と共に、美味しい料理をお客様にお届けしたいです。」
シェフは日々食材を探し、いい食材との出会いが料理の質を高めていく。
お客様に美味しいを超えた感動をお届けするには、生産者との強いつながりが必要不可欠なのです。
今後も生産者とのつながりを深めながら、ホテルグランヴィア京都は素材を活かした料理を追求し続けます。