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宿毛湾漁港直送の魚の美味しさを分かち合い お客様が笑顔になる料理を届けたい

[ホテルグランヴィア京都]では、高知県の宿毛(すくも)湾で捕れた魚を直送で仕入れ、各レストランでお客様に提供しています。なかでもビュー&ダイニング『コトシエール』では、手間を惜しまず魚と実直に向き合いながら、日々メニューを考案。お客様に宿毛湾の魚の美味しさを届けたいという思いから生まれた“魚の魅力が伝わる料理”“魚を無駄なく使用した料理”は、アミューズや前菜、魚料理、コースを締めくくるお米を使った最後の一皿まで全てが、新しい食の世界へと誘います。漁港と日々やりとりをしている『コトシエール』の料理長 鈴木に、宿毛湾の魚の魅力や、魚の美味しさを引き立たせる調理法について話を聞きました。
 
宿毛湾の魚を知り尽くす
[与力水産]とのつながり

 
温暖な気候と海・山・川の豊かな自然に囲まれた、高知県の南西に位置する宿毛市。豊後水道と黒潮の本流が交わる宿毛湾周辺の海域は、「魚のゆりかご・天然の養殖場」と言われるほど魚種が豊富で、日本で生息している海産魚の約70%以上が生息しているエリアです。

宿毛湾は、中型・小型まき網漁業やひき縄釣り、一本釣りなどさまざまな漁法が行われていることから捕れる魚の種類が多彩です。
[ホテルグランヴィア京都]では10年ほど前から、宿毛市に本社を構える[与力水産]を通じて魚を仕入れています。2023年春に総料理長 柏木が漁港にある[すくも湾中央市場]を訪ね、[与力水産]の吉村社長と対面。実際に水揚げされた魚や競りの現場を見学し、“「漁師」⇄「与力水産」⇄「ホテル」”の連携の強さを改めて実感したと言います。





 

宿毛湾で水揚げされる魚は、恵まれた環境で育つためほどよく脂がのり、黒潮と豊後水道の海流に揉まれることで身が引き締まるそうです。

「水揚げされて漁港に運ばれた魚を吉村社長が目利きをして競り落とし、そこから誰の手も介することなくホテルに直送されている現場を見ることができました。一般的には飲食店へ行くまでに仲卸を挟むことが多いのですが、水揚げされた翌日にホテルへ届けていただいているので、鮮度の良さが全然違うんです。」
 





 

魚の状態を説明する[与力水産]の吉村社長(写真右)と聞き入っている総料理長 柏木(写真左)。競り落とした魚は[与力水産]が下処理を全て手掛け、鮮度が保たれた状態で[ホテルグランヴィア京都]へ直送されます。

過去には、大きいサイズのオオモンハタを使う料理を提供することになり、漁師さんとのつながりが強い吉村社長に依頼。オオモンハタ狙いで船を出すなど、さまざまな要望にも柔軟に対応してくれる頼もしい存在です。
吉村社長は日々競りの現場から、水揚げの状況や魚の状態を料理長 鈴木に電話で報告。漁法や魚の締め方まで丁寧に伝えてもらえるので、安心して仕入れることができます。プロの目利きはもちろん、細やかな対応をしてくれる信頼のおけるパートナーです。
 
宿毛湾の魚がシェフの創造力を掻き立て
遊び心溢れる料理が生まれる
『コトシエール』では、さまざまな魚種をトロ箱という魚を入れる箱に詰めて送ってもらっています。オーダーした魚以外に、おすすめの旬の魚も詰めて送られてくるため、調理したことがない魚との出合いもシェフの楽しみの一つです。
コース料理の最初に提供するアミューズは、その日のトロ箱の魚を見ながら料理長 鈴木がアミューズ担当とともにメニューを組み立てていきます。





 

この日のトロ箱には、クエ、クロムツ、アカヤガラ、アカハタ、オオモンハタ、イサキ、ウスバハギなどが入っていました。アカヤガラは全長の3分の1が口という珍しい魚。一般的なスーパーなどではあまり見かけませんが、料亭などでは高級食材として扱われています。

「グランドメニューを変えることはできないけれど、アミューズは産地直送の魚を色々な仕立てで提供しているので、自由度があるんです。このメニューをつくるからこの魚を仕入れるのではなく、この魚があるからこのメニューにしたという方が、お客様に伝えられることがたくさんある。素材を活かす料理をつくることが料理人の醍醐味でもあり、腕の見せどころでもあります。」

届いた魚は、頭、骨、皮、骨についた身なども無駄なく使うことで、料理の幅が広がると料理長 鈴木は語ります。アミューズでは、料理で使ったさまざまな魚のアラに塩をしてオーブンで焼き、香味野菜、ハーブと一緒に煮込んだブイヨンスープとして提供。胃をやさしく温めてくれるスープは、魚の旨みが詰まった身体に染み渡る味わいです。
 





 

ブイヨンスープは魚の骨や頭からとった出汁を丁寧にこし、味付けは塩のみ。新鮮な魚のアラだからこそ、シンプルな味付けで美味しいスープに仕上げることができるのです。





 

宿毛湾の魚を全メニューに取り入れたアミューズの一例。魚のチュイル(写真左)、鰤の生ハムと水茄子(写真中)、アオリイカのムース 完熟梅添え(写真右)、ブイヨンスープ(写真右奥)。

ブイヨンスープの他にも、魚を無駄なく使ったパリパリとした口当たりが楽しいメニューが登場。魚のすり身と皮を魚のエキス、米粉、あおさなどと一緒に混ぜて伸ばし、オーブンで乾燥させたチュイル(せんべい)です。香ばしさの中にフランス料理ならではの丁寧な仕事が光る、上品な味わいに心を奪われます。その他、生ハム風に仕立てた天然鰤で水茄子を包んだもの、アオリイカのムースをシート状にして金箔を貼り付け、京丹波産の完熟梅を添えた一品など、魚介に組み合わせる独創的な素材との相性も抜群です。料理長 鈴木が趣向を凝らした魚づくしのアミューズは、新しい味覚との出合いに心が躍ります。
宿毛湾の魚が7種も味わえる
手間暇を惜しまないブイヤベース
魚料理では、フランス料理でお馴染みのブイヤベースを用意。ブイヤベースといえば魚介類を煮込み、サフランで色・香りをつけたスープをイメージしますが、『コトシエール』のブイヤベースでは、魚を主役として引き立てるために料理長 鈴木がさまざまな調理法を駆使しています。





 

白身ながら濃厚な旨みがあり全体に脂がたっぷりとのっているクロムツは、グリルをして香ばしく仕上げます。

「スープに添える魚は7種類使っているのですが、それぞれに火入れの方法を変えています。ローストやグリルの他にも、蒸したり、低温で揚げたり、魚の味や身の質に合わせて調理法を変え、美味しさを引き立てています。魚の種類は日により異なるので、その日届いた魚と会話をしながら、調理法を選択するんです。」
 






 

この日の魚は、上から時計回りにクロムツ、ヨコスジフエダイ、ウスバハギ、オオモンハタ、アカヤガラ、クエ、アカハタの7種類。スープはサービススタッフがお客様の目の前で注ぎます。

ブイヤベースに使われているアカヤガラは、フレンチでは滅多に使わない魚種の一つ。上品な中に豊かな味わいがあり、和食では白身魚の椀種として最上級とも言われています。こうした珍しい魚もトロ箱には入っていることがあるため、どのような料理や調理法が向いているのか頭を悩ませることも。過去には、高知ではよく食べられているマンボウを送ってもらったこともあったと言います。

「日々吉村社長と電話でやりとりしているので、地元での食べ方や味の特徴などを聞いて料理に取り入れたこともあります。マンボウは湯掻くとイカみたいな口当たりで、高知ではマヨネーズをつけて食べるとお聞きし、サラダ仕立てにしてお客様に提供しました。現地との強いつながりは、料理のアイデアや調理法にも活かされ、新しい料理が生まれているんです。」
 

 

シェフ自らが魚を捌き、魚それぞれの特徴の知識を深めることで、より一層魚への愛着も湧き、料理のアイデアにもつながるそうです。吉村社長が目利きをして届けてくれた魚を直に見て調理をすることで、シェフのスキルアップにも繋がっています。
魚の出汁の旨みを活かした
あっさり×スパイシーなカレー
最後に提供するお米を使った一皿はカレーです。フレンチでカレーと聞くと欧風カレーを想像しますが、小麦粉を使ってとろみをつける欧風カレーとは違い、フランス料理ならではの魚のアラでとった旨みたっぷりのブイヨンに、スパイスを合わせたオリジナルカレーです。サラサラとしたルーと軽い口当たりのバスマティライスの組み合わせは、コースの最後でもスルスルと食べられます。お好みで添えてあるライムを絞っていただくと、魚の旨みにライムの爽やかな香りと酸味が加わり相性抜群です。
 





 

魚の出汁の旨みが広がるカレーには、宿毛湾で捕れたトウゴロウイワシを素揚げしたものをトッピング。鱗のパリパリ感がアクセントになっています。
 





 

宿毛湾を訪ねた総料理長 柏木(写真右)と、届く魚の状態を把握している料理長 鈴木(写真左)がタッグを組み、お客様に喜んでいただけるメニューを考案しています。


肉料理に比べ、魚料理は魚の身の質に合わせて熟成をしたり、調理法を変えたりといった手間暇が掛かりますが、料理長 鈴木は素材と向き合いながら料理ができることが楽しいと言います。

「吉村社長や宿毛湾の魚への感謝の気持ちがあるからこそ、素材を無駄なく使いたいですし、お客様に宿毛湾の魚の美味しさを届けたい。鮮度のいい魚を一番いい状態で提供することはどこにも負けていないという自信があるので、現地へ行かずとも体験できる美味しい感動で満たされる喜びを味わっていただきたいです。」

今後も宿毛湾漁港とのつながりを深め、情熱と技術を持って調理し、お客様と美味しさを分かち合いたい。料理長 鈴木は、お客様の心が豊かになり、笑顔になる料理とは何かを追求しながら、今日も魚と会話しています。
 

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  • 鉄板焼 五山望
  • ビュー&ダイニング コトシエール
  • ゲストハウス 塩小路楽粋
  • 和食 浮橋
  • 京懐石 美濃吉 竹茂楼
  • カフェレストラン ル・タン
  • 天婦羅処 京林泉
  • 中国料理 六本木樓外樓

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